しょっちゅう、でも、ちょっぴり
しょっちゅう、でも、ちょっぴり。
これは、20世紀に最も売れたと言われる大作、プルーストの『失われた時を求めて』の第1冊 スワン家の方に出てくるワンフレーズ。
スワン父が、亡くなった奥さんのことを思う時、
"しょっちゅう、でも、ちょっぴり"だけ想う。
これを読んだだけで、わたしはぐっときて、心がいっぱいになってしまった。
愛しいので、しょっちゅう考えてしまう。
でも、ちょっと考えるだけでも、胸がいっぱいになるので、あまりたくさん、長いあいだは考えられない
甘酸っぱさ、切なさ。
少しずつ、少しずつ。
あんまりたくさんだと、感情の洪水を堰き止められないかもしれない。
ダムが決壊しないよう、やさしく、注意深く、ほんのちょっぴり。
スワン父の、愛のやさしさ。
文字を通してふれるだけでも、その無防備な愛に感動してしまう。