あなたとわたし

人の価値観はみんな違う。それが前提。

友たち



私の友たちよ


あなたたちは本当に存在するの?




ブーブーと連続して鳴る音と

伝わってくる振動


それらはわたしをうんざりさせる

そして不思議な気持ちにさせる


わたしはじっと

それを見つめる




わたしの友だちには、声や表情はなくて

ブーブーとうなる、見た目のよい機械の中に住んでいて

実体を持たない意識

あるいはアルゴリズムなのかと




ケータイの振動音はわたしを不愉快にするけど

あなたたちの声やまなざしの記憶は

わたしを愛おしい気持ちにしてくれるの。



文明の利器を手にして、私たちはいままでになく強くなったけれど、

それが無かった時よりももっと

自分たちがはかなく感じる。



だって、どうせあなたやわたしは


画面の中にのみ存在するから。

画面を切ってしまうと、存在しないも同然。



あなたの写真はたくさん見るけれど、

最後に私たちが目を合わせ、沈黙に身を置いたのは

いつだったかしら。



聞きたくないノイズばかりが大声で騒ぎたて、

一番聴きたかったあなたの声、

心の聲がもう、


わたしには

聞き分けられないの。